日本二百名山の一つ、金剛山は初心者からベテランまで楽しめる登山道が整備されており、関西では誰でも気軽に登山を楽しめる山として有名です。
雪山となる12月から2月では氷瀑や霧氷など、日常では観ることができない景色を気軽に楽しむことができます。
週末には多くの登山客で賑わう金剛山ですが、その気軽さゆえ、厳冬期の雪山にもかかわらず、明らかに準備不足の登山初心者の方々が多々見受けられます。
気軽に登れる金剛山であっても、雪山は一つ間違えればケガや生死に関わる事故に繋がります。
・チェーンスパイク(軽アイゼン)は必須
・綿のシャツは不向き
・ヒートテックも不向き
上記以外にも注意する点がたくさんあります。
今回は金剛登山歴10年以上の私が、冬の金剛登山に適した服装と持ち物を紹介します。
ユニクロのコーディネートも紹介しています!
春秋、夏の金剛山の服装についてはこちらの記事で紹介↓

・初めて雪山にチャレンジする人
・冬の金剛登山が初めての人
・過去に準備不足でひどい目にあった人
・しっかりと準備したい人
冬の金剛山ではチェーンスパイク(軽アイゼン)が必要です!
冬の金剛登山で最も大切な道具がチェーンスパイク(軽アイゼン)です。
12月~3月に金剛山に登るなら必ず必要です。
チェーンスパイク(軽アイゼン)無しでは、大けがや命にかかわる事故に繋がる可能性があります。
冬の金剛山では、完全に整備された登山道(千早本道)も凍結しており、運動靴だけでは滑って転倒します。
登りは何とか登れても、下りは必ずと言ってよいほど転倒します。
転倒だけで済めばよいですが、金剛山では実際に滑落事故も起きています。
登山ルートにもよりますが、冬の金剛山ではチェーンスパイクや軽アイゼンがあれば、安全に登山を楽しむことができます。
チェーンスパイクはネットショップで2000円以下で販売されているので、必ず準備するようにしましょう。
私は安価なチェーンスパイクを何回も使用していますが、これで困ったことはありません。
冬の金剛登山に必要なアイゼンはこちらの記事で詳しく解説しています↓

合わせて読んで頂けると嬉しいです。
冬の金剛登山に必要な服装とは?
冬の金剛山の気温は平地とは違ってかなり寒く、日によって幅はありますが、山頂は氷点下10℃以下になることもあります。
一般的に標高が100m上がると0.6℃下がるされており、金剛山山頂(1125m)付近では平地より7℃近く低い計算になります。
そのため冬の金剛山では、氷点下を想定した服装を準備する必要があるのですが、難しいのは登山は冬であっても汗をかくスポーツだということです。
登山はウォーキングの延長と考えている人が多いですが、登山の運動強度は高く、軽いハイキングでも平地でのジョギングに相当する。
金剛登山は運動量が多いためとても暑くなり、汗をかきます。
そのため、登山では重ね着(レイヤリング)が基本で、寒い登り始めや山頂では厚着、汗をかく登山中は薄着と、シーンに応じて着る枚数を変更し、体温調節します。
また、汗で濡れた服装のままでは、寒い頂上で休憩した時に、汗冷えを起こしてしまいます。
服装の素材選びにも気を付ける必要があります。
冬の金剛登山に適した服の素材とは?
冬の金剛登山では、速乾性の高いスポーツ用の化繊素材(ポリエステル)を使用した服装が望ましいです。
ポリエステルできたシャツやフリースは、汗をかいてもすぐに乾くのが特徴です。
ベトつかずに快適で、雪山登山で最も大切な汗冷えを防ぐ効果があります。
また速乾性はポリエステルに劣りますが、濡れても保温性が高く、調湿に優れたウールも良いですね。
一般的な綿(コットン)でできたインナー(肌着)やトレーナーは、吸水性は高いですが乾きにくいため、登山には不向きです。
また、暖かいユニクロのヒートテックも登山には不向きです。
ヒートテックにはアクリルやレーヨンが使用されています。
アクリルは吸湿性がなく、レーヨンは吸湿性は高いですが速乾性が低いです。
私はヒートテックで金剛山に登ったことがありますが、汗でベトベトになる印象でした。
冬の金剛登山に必要な重ね着(レイヤリング)とは?
それでは冬の金剛登山で必要な重ね着について、良い例、悪い例、ユニクロでのコーディネートを紹介します。
金剛山は本格的な雪山装備でなくても、ユニクロなどの安価な服装で十分対応できます。
※晴れた日を想定しています。また、あくまでも個人的な意見です。
冬の金剛登山の重ね着(良い例)
重ね着(レイヤリング)の基本は、
①速乾性、保温性の高いベースレイヤー(肌着)
②速乾性、保温性のあるミドルレイヤー(中間着)
③寒さを防ぐアウターレイヤー
登山中はこの3重構造です。
寒い登り始めや山頂ではダウンジャケットを併用します。
②ミドル:ポリエステルの長袖ジップシャツ
③アウター:ライトダウンジャケット
④アウター:ポリエステルのウインドブレーカー
⑤ボトムス:ポリエステルのタイツとパンツ
⑥靴下:ポリエステルの厚手の靴下
全体を登山用のポリエステル素材でまとめた理想的な服装です。
ミドルレイヤーはジップ式で体温調節が用意になっています。
アウターレイヤーには風を遮断する、登山用のウインドブレーカーを着用。
汗をかいたシャツに風が当たるのを防ぎます。
登山中、暑ければ脱いでザックに入れておきます。
ポリエステルのアウターレイヤーは、保温効果はそれほど高くないので、寒い時はインナーダウンを着用して対応します。
頂上でゆっくりするなら、フリースも一枚持っていると安心です。
冬の金剛登山初心者にありがちな服装
次に雪山初心者にありがちな服装の紹介です。
※あくまでも個人的な意見です。
「冬の金剛登山は寒そうなので、動きやすくて暖かい格好をした方が良い。」と考えた結果です。
②ミドル(中間着):アクリルのセーター
③アウター:ダウンジャケット
④ボトムス:ヒートテックタイツとジーンズ
⑤足元:綿の靴下、運動靴
一見暖かくて動きやすそうな組み合わせですが、汗冷えを防ぐ観点から考えると、冬の金剛登山には不向きです。
インナーには、速乾性が低く汗を吸収しないヒートテックを使用。
ミドルレイヤーのセーターは暖かいのですが、ヒートテックと同様にアクリルが使われていることが多く、汗を吸収しにくいです。
アウターレイヤーのダウンジャケットは保温効果が高すぎるため、オーバーヒートを起こします。
ダウンジャケットを着てジョギングをするのと同じで、登山中は暑くて着ていられません。
①オーバーヒートが生じる
②汗が吸収、発散されない
★汗冷えの原因になる!
ボトムスのヒートテックタイツとジーンズですが、下半身はあまり汗をかきにくいので、個人的にはこの組み合わせでも良いと考えています。
※個人差はあります。
最後に運動靴と靴下ですが、雪の中を歩くので、ルートによっては靴が濡れてしまうのと、綿の靴下一枚では寒いです。
また、ローカットの運動靴ではくるぶし部分から雪が浸入してきて冷たいです。
冬の金剛登山に適したユニクロコーデ
理想を追い求めれば快適な金剛登山ができますが、冬の装備を整えるとなると、それなりのコストがかかります。
完璧とは言えませんが、冬の晴れた日の金剛山であれば、ユニクロでも十分に対応できます。
※個人的な意見です。
ミドル(中間着):フリースジャケット
アウター:ライトダウン
アウター:レインジャケット
ボトムス:ヒートテックタイツとジーンズ
足元:パイルソックス、防水運動靴
ボトムス以外はポリエステル素材をを選択。
アウターレイヤーにはウルトラライトダウンとレインジャケットを併用しています。
レインジャケットはウインドブレーカーの代用で、山頂で風が直接身体に当たるのを防ぎます。
※透湿性のあるものが最適です。
寒い時は一番上に風を通さないジャケットを着るのが基本です。
また、暑い時はアウターの枚数で体温調節を行います。
※かぶりシャツは脱ぎ着が面倒です。
ボトムスはヒートテックタイツとジーンズの組み合わせです。
快適とは言えませんが、個人的には冬の金剛登山で不快に感じたことはありません。
靴下は厚手のポリエステル素材でできたユニクロ、パイルソックスを選択。
厚手の靴下が無い場合は、綿(コットン)の靴下を2枚重ねると良いです。
靴は防水の運動靴を履いています。
冬の金剛登山に役立つ道具とは?
次に冬の金剛登山にあれば役立つ道具を紹介します。
※晴れた日を想定した道具で、個人的な意見です。
①帽子、手袋、登山靴
②トレッキングポール
③ウレタン座布団
④保温ボトル(水筒)
⑤サコッシュ
⑥ブランケット
⑦ゲイター(スパッツ)
⑧リュック(20ℓ)
ここで紹介する以外にも、タオルやティッシュ、救急セットやヘッドランプなど、冬の金剛登山を安全に楽しむ道具はあった方が良いです。
【初心者向け】登山を安全、快適にする道具はこちらの記事で解説↓

ニット帽、手袋、登山靴
登り始めや山頂では頭や耳がとても寒いです。
ニット帽で耳をおおうと快適に登山を楽しむことができます。
登山中、暑い時はサコッシュにいれておきます。
手袋も登り始めや山頂で着用します。
金剛山ではスキーなどで使用する分厚い手袋は必要なく、薄手の手袋で対応可能です。
素材はポリエステルやウールが望ましいですが、コストをかけてまでこだわる必要はありません。
冬の金剛登山では雪が靴に被るので、防水の登山靴があれば足が濡れるのを防げます。
またスニーカーなどローカットの靴では、くるぶし部分から雪が浸入して冷たいです。
登山靴が無い場合は、スニーカーに防水スプレーをふって対応しましょう。
ネットショップで販売している安価な物で十分です。
金剛登山の負担を軽減するトレッキングポール(ストック)
トレッキングポールは登山用の杖です。
登りや下りの負担を軽減したり、バランスを取りやすくするための道具です。
自動車もそうですが、雪道では2輪駆動よりも4輪駆動の方が安定します。
1本だけでもあれば身体への負担は違ってくるので、1セットあればお連れ様の分も用意できます。
お尻を守るウレタン座布団
アイゼンやチェーンスパイクを着ける時、山頂で休憩する時などに役立ちます。
雪の積もったベンチにそのまま座れませんし、薄いレジャーシートではお尻が冷たくて座ってられません。
ウレタンの座布団は、お尻を濡れと冷えから守ってくれるので、冬の金剛山では必需品です。
座布団は雪で濡れるので、布が付いたものよりもウレタンむき出しの方便利です。
おすすめはバンドックの座布団です。
お連れ様の分もあると、大変喜ばれます。
金剛登山に必要な保温ボトル(水筒)
金剛山の山頂には売店があり飲食が可能ですが、登山中は冬でも喉は乾きます。
ルートにもよりますが、金剛山は登山口から頂上まで2時間程度かかります。
こまめな水分補給は疲労軽減する上でも大切なので、保温ボトルは必需品です。
500~700mlあれば下山まで持ちます。
冷えた飲み物よりも、ほんのり暖かい方が頂上で幸せになれますし、登山中も飲みやすいです。
※個人的な意見です
金剛登山にあると便利なサコッシュ
サコッシュはスマホやティッシュ、ハンカチなどを入れるのに便利です。
金剛登山ではジャケットを脱ぎ着するので、ポケットに物を入れておくのは紛失に繋がります。
かと言って、登山中にいちいちリュックを下ろすのは面倒です。
サコッシュを首から下げておくことで、ルートを確認する際や、写真を撮りたい時にサッとスマホを取り出すことができます。
私はサコッシュの中に、
①ティッシュ
②ハンカチ
③スマホ
④おやつ
⑤財布
などを入れています。
休憩中のおやつは大阪のおばちゃんの定番です。
寒い山頂で役立つブランケット
頂上で食事をしたり、休憩する時にあると暖かくて幸せです。
ダウンのブランケットは軽くてかさばらず、コンパクトにリュックに入れることができるのでおすすめです。
なければ予備のフリースジャケットを持って行き、ひざ掛けにするなどして対応すると良いでしょう。
雪の侵入を防ぐゲイター(スパッツ)
ゲイターは雪が靴に侵入するのを防ぐ道具で、スパッツとも言います。
登山靴やスニーカーの上に取付けることで、雪や雨が靴の中に入るのを防ぎます。
ズボンが汚れるのを防いだり、アイゼンで足をキズ付けるのを防止する役割もあります。
特にローカットのスニーカーでは、くるぶし部分から雪が浸入するので、ゲイターがあると足を守れます。
夏山登山でも小石が靴に入るのを防いだり、雨の日にも重宝します。
冬の金剛登山に必要なリュック(20ℓ以上)
冬の金剛登山で使用するリュックサックは20ℓ以上が良いです。
上記で紹介した道具のほかに、昼食やクッカー、バーナーなどを入れたり、脱いだジャケットやアイゼンを入れたりします。
保温ボトルなどを入れるのにサイドにポケットがあると便利です。
水分補給の度にリュックを下ろすのは面倒ですし、面倒だからといって冬の金剛登山で水分補給を怠ってはいけません。
頂上で使うものは下の方に。よく使うものは上の方に入れるのが基本です。
頻繁に出し入れするのもはサコッシュに入れましょう。
【冬の金剛登山の服装と持ち物】まとめ
いかがでしたか?
冬の金剛山は都市部からも比較的近いながら、日常では味わうことができない体験をすることができます。
ただ、気軽に登れる金剛山であっても、冬の雪山を侮ってはいけません。
・チェーンスパイクは必須!
・服装の基本はレイヤリング!
・服の素材はポリエステル!
・アウターは風を通さないもの!
・山頂では重ね着して保温!
チェーンスパイクは必須ですが、服装は必ずポリエステルやウール素材でないとダメ!という訳ではありません。
できるだけ適した服装を選択することが、冬の金剛登山を安全、快適に楽しむことに繋がります。
せっかくの休日、不快な思いをせずに思いっきり楽しみたいですからね。
・寒い時はニット帽や手袋着用!
・トレッキングポールで疲労軽減!
・ウレタン座布団でお尻を守れ!
・保温ボトルで常に給水を!
・サコッシュは便利!
・ブランケットで幸せになれ!
・ゲイターで足を守れ!
・リュックは20ℓ以上!
安全、快適に冬山登山を楽しむためには道具も非常に重要です。
ここで紹介した以外にも、安全を確保するための道具はあった方が良いです。
そのほか、事前の天気予報はもちろんのこと、金剛山山頂のライブカメラで山頂の様子を実際に見て確認すること。
金剛山の積雪情報でアイゼンやタイヤチェーンの必要性を確認することなど、入念な準備を行い、安全で快適なアウトドアを楽しみましょう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
このほかにも登山に関する記事を書いていますので、合わせて読んで頂けると嬉しいです。
氷瀑が観れるツツジ尾谷ルートの解説記事はこちらから↓

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