金剛山には初心者からベテラン登山者まで楽しめるルートが多数存在し、その数は破線ルートも含めると100近くあると言われています。
今回、金剛山の登山ルートや登山口をYAMAPアプリを使用して調査し、考察したので報告します。
はじめに、調査の際にルートを教えて頂いたり、コメントを下さるなど、ご協力頂いた皆様に深く感謝致します。
調査した内容は以下の通りです。
- 金剛登山の人気ルート
- 金剛山の下山で人気のルート
- 登山口別の利用者数
- 初心者におすすめのルートとその理由
- 人気ルートの理由
結果、1位から3位までは以下の通りです。
- 人気の登山ルートは、
①千早本道
②寺谷ルート
③水越ダイトレ - 人気の下山ルートは、
①千早本道
②伏見峠ルート
③寺谷ルート - 利用者の多い登山口は、
①百ヶ辻(伏見峠林道、南登山口)
②金剛登山口(西登山口)
③水越峠(北登山口) - 初心者におすすめのルートは、
①寺谷ルート
②千早本道 - 人気ルートの理由は、
①千早本道:他ルートを知らない、トレーニング目的
②寺谷ルート:沢沿いで花や鳥など山を感じられる、安全
③水越ダイトレ:トレーニング、他ルートにアクセスできる
それでは、具体的な調査方法や考察、人気の理由などを報告します。
金剛山の登山口と登山ルートを紹介
はじめに、金剛山の登山口と登山ルートについて紹介します。
金剛山の登山口は大きく分けて、
- 「金剛登山口(西登山口)」
- 「百ヶ辻登山口(伏見峠林道入口、南登山口)」
- 「水越峠(北登山口)」
- 「奈良県側登山口」
上記4つの登山口があります。
金剛登山口(西登山口)
金剛登山口(西登山口)からは、
- 千早本道
- ツツジオ谷ルート
- タカハタ谷ルート
- 松の木道ルート
- カトラ谷ルート
- ワサビ谷ルート
- 黒栂谷道
などの登山ルートがあります。
公共交通機関や自家用車でのアクセスも便利で、登山口には駐車場やトイレなどの設備が充実しており、公共交通機関でのアクセスも便利な登山口です。
百ヶ辻登山口(伏見峠林道入口、南登山口)
百ヶ辻登山口は「伏見林道入口」や「南登山口」とも呼ばれています。
- 文殊尾根ルート
- ババ谷ルート
- 寺谷ルート
- 馬の背ルート
- 細尾谷ルート
- カタクリ尾根
- 伏見峠ルート
- 香楠荘尾根ルート
などの登山ルートがあります。
百ヶ辻登山口も、駐車場やトイレがあり、公共交通機関でのアクセスも良いです。
水越峠登山口(北登山口)
水越峠登山口は、北ルート登山口とも呼ばれています。
- ダイヤモンドトレール
- 青崩道
- ガンドガコバルート
- 太尾東尾根ルート
- 太尾西尾根ルート
- もみじ谷ルート
- サネ尾根ルート
- カヤンボ谷ルート
などがあります。
水越峠(北登山口)は、石ブテルート、中尾の背ルート、丸滝谷など、上記以外にも破線ルートや記載されていないルートも沢山あります。
入口付近に無料駐車場とトイレがありますが、公共交通機関でのアクセスは困難な登山口です。
奈良県側登山口
奈良県側の登山口は、大きく分けて高天道(郵便道)のある登山口と、天ヶ滝新道のある登山口があります。
- 郵便道(高天道)
- マツバカケ尾根ルート
- 伏見道ルート
- 石寺跡の道
- 天ヶ滝新道
他にもイワゴノタニやクソマル谷などの沢登りルートや、高天谷ルートなどのルートもあります。
登山口には無料の駐車場があり、トイレも設置されている登山口です。
金剛山の人気登山ルート、登山口別の利用者数
それでは、金剛山の人気ルート、登山口別利用者数の調査について報告します。
- 調査の方法と対象
- 金剛山で人気の登山ルートランキング
- 金剛山で人気の下山ルートランキング
- 金剛登山の登山口別の利用者数と性別
調査の方法と対象
【調査方法】
登山アプリ【YAMAP】を使用し、以下の方法で行いました。
- YAMAPに記録された登山ルートの登りルートと下山ルート、性別を調査。
- YAMAPに記録された登山者から、よく登るルートの理由、初心者におすすめのルートをコメントで聴取。
【対象】
2024年、天候条件の良い、とある休日の一日に、金剛山に登られた登山者の中で、YAMAPに活動記録が残っている150名全員。
金剛登山者の内、コメントでの返信があった30名の、よく登るルートの理由、初心者におすすめのルートとその理由を聴取。
※既にWEB上に公開されている活動データを元にしていますが、個人情報保護の観点から、より個人を特定しにくいよう、ここではとある休日の一日とさせて頂きます。
※一日に2度以上登られている場合、初回のデータのみを記録。
※登山口について、千早本道のある①「金剛登山口(西登山口)」、②「百ヶ辻(伏見峠林道、南登山口入口)」(ババ谷含む)、③「水越峠」(水越峠入口、水越峠ダイトレ入口)、④「奈良県側登山口」(天ヶ滝道、高天道)の4つの登山口としています。
※登山ルートについて、一部筆者が分からないルートもあるため、必ずしも正確ではないことをご了承ください。
金剛登山の人気ルートランキング
金剛山の登りの人気ルートランキングは、
- 1位「千早本道」25人
- 2位「寺谷ルート」17人
- 3位「水越ダイトレ」12人
- 4位「ツツジオ谷」10人
- 5位「文殊中尾根」8人
金剛山の下りの人気ルートランキング
金剛山の下りルートランキングは、
- 1位「千早本道」29人
- 2位「伏見峠」16人
- 3位「寺谷ルート」15人
- 4位「青崩」11人
- 5位「水越ダイトレ」「文殊中尾根」9人
登山口別の利用者数ランキングと性別
登山口別の利用者数(登り)については、
- 1位「百ヶ辻(伏見林道入口、南登山口)」48人
- 2位「金剛登山口(西登山口)」44人
- 3位「水越峠(北登山口)」43人
- 4位「奈良県側登山口」13人
登山口別の利用者数(下り)については、
- 1位「百ヶ辻(伏見峠林道入口、南登山口)」53人
- 2位「水越峠(北登山口」44人
- 3位「金剛登山口(西登山口)」38人
- 4位「奈良県側登山口」10人
この日の金剛登山者の性別は、男性が92名、女性が52名、不明が6名でした。
金剛山の人気ルートの理由
1位:千早本道が人気の理由
・他のルートを知らない
・トレーニング目的
2位:寺谷ルートが人気の理由
・山を感じられる(花が多く咲く、沢沿いで涼しい)など
・距離が短い
寺谷ルートについては、こちらの記事で詳しく紹介しています↓
3位:水越ダイトレが人気の理由
・トレーニング目的
・多様なルートにアクセスできる
・駐車場が無料
4位:ツツジオ谷が人気の理由
・登山道が面白い
・氷瀑が見れる
ツツジオ谷ルートについては、こちらの記事で詳しく紹介しています↓
金剛山の初心者におすすめのルートの調査結果
金剛山の初心者におすすめのルートは、
- 1位「寺谷ルート」8人
- 2位「千早本道」7人
- 3位「伏見峠」4人
1位:寺谷ルートのおすすめ理由
・沢沿いを登るルートでマイナスイオンが感じられる
・涼しい季節ごとの花が多く咲く
・登山道が安全
・道迷いが少ない
2位、3位:千早本道、伏見峠のおすすめ理由
・登山道が整備されており安全
・道迷いが少ない
その他の初心者におすすめのルートも、登山道が整備されており、金剛登山初心者には道迷いが少なく、安心、安全であるという理由でした。
金剛登山に必要な服装と持ち物はこちらの記事で紹介しています↓
金剛山の人気登山ルート、登山口別の利用者数の考察
今回の調査結果、調査過程をもとに、考察します。
金剛山の人気ルートの考察
1位の「千早本道」が人気の理由について、他ルートを知らない登山者や、トレーニング目的の登山者が大半であることが分かりました。
中には、何度も往復する強者もおられます。
実際、筆者の友人で数人いる登山初心者も、「千早本道」しか知らずに登ったと聞きました。
また少数ですが、葛城山からの縦走に使っている登山者もいることが分かりました。
2位の「寺谷ルート」は調査している中で、初心者だけでなく、多くのベテラン登山者も利用していることが分かりました。
筆者も寺谷ルートで登ることが多いですが、やはり登山の醍醐味を気軽に味わえるルートだからです。
コメントにはありませんでしたが、筆者的には、標高差が少なく、山頂までの距離が短い点も、初心者におすすめする理由の一つです。
3位の「水越ダイトレ」は、トレーニング目的だけでなく、もみじ谷ルートや青崩ルートなどの、多様なルートと併用されていることが分かりました。
そのほか、「水越ダイトレ」は、葛城山からの縦走に使うベテラン登山者も多いことが分かりました。
下山では「千早本道」が1位、「伏見峠」が2位という結果でした。
「千早本道」が1位の理由について、他のルートを知らない方や、トレーニング目的の方が多いことが分かりましたが、その他にも、「ツツジオ谷」や「カトラ谷」で登った登山者が、下山ルートとして使っていることも分かりました。
カトラ谷のニリンソウ群生地については、こちらの記事で紹介しています↓
「伏見峠」が2位の理由は、ルートをあまり知らない登山者が「千早本道」で登り、「伏見峠ルート」で下山する、というルートをとっていることも理由の一つです。
また、「寺谷ルート」から登り、「伏見峠」で下山する登山者も多いです。
これは、ちはや園地で福寿草やカタクリの花を観賞したり、休憩する目的があると推測します。
金剛山のカタクリの花の群生地については、こちらの記事で紹介しています↓
登山口別の利用者数の調査の考察
登山口別の利用者数(登り)では、1位が「百ヶ辻(伏見峠林道入口)」で2位が「金剛登山口」でした。
「百ヶ辻」が1位である理由は、登山ルート2位の「寺谷ルート」や、5位の「文殊中尾根ルート」、6位の「文殊東尾根ルート」を利用する登山者が多いことが挙げられます。
「金剛登山口」が2位の理由は、登山ルートダントツ1位の「千早本道」、4位の「ツツジオ谷」の登山口であることが挙げられます。
これら2つの登山口は、駐車場やトイレなどの設備に加えて、公共交通機関での利用がしやすいことも影響していると考えます。
ただし、登山口別の利用者数(下り)では「金剛登山口」よりも「水越峠」の登山口の方が上回っています。
その理由は、「金剛登山口」から登って、「百ヶ辻」に下山される方が一定数おられ、「金剛登山口」へ下山する数が減るためです。
「千早本道」での下山は、膝やふくらはぎへの負担が大きく、それを避ける傾向にあることが示唆されます。
そのほか、「金剛登山口」や「百ヶ辻」から金剛山に登って水越峠に下山し、葛城山に登る、いわゆる「コンカツ」をされる登山者がおられることがわかりました。
奈良県側から登って、水越峠に下山する方もいます。
2024年、公共交通機関での利用が困難になった「水越峠」ですが、まだまだ利用者数が多いのは意外でした。
金剛山の上級者ルートの多くが水越峠側にあることに加え、水越峠側や奈良県御所市側の登山口は、駐車場が無料なことも影響していると考えます。
また、「水越峠」を利用する登山者の多くは、「百ヶ辻」や「金剛登山口」に比べて、ベテラン登山者が多い印象です。
男女差に関して、金剛登山者は男性の方が多いですが、性別によるルート選択に顕著な違いはありませんでした。
今回の調査は、YAMAPアプリの利用者のみにとどまっているため、必ずしも正確とは言えませんが、金剛登山者の傾向を把握することはできたと考えます。
金剛山には、他アプリを利用している登山者や、アプリを利用していないベテラン登山者多く存在しているはずです。
同じく、アプリを利用していない登山初心者も多くいると考えられ、今回の調査から、その多くは「千早本道」や「伏見峠」を利用していることも考えられます。
また、今回の調査は、とある休日の一日を切り取った調査です。
金剛山の人気登山ルートは、季節や天候ごとの変化もあるため、それらを知るためにも、継続した調査が必要だと考えます。
最後に、改めて今回調査にご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
最後までお読み頂きありがとうございます。
筆者の【YAMAP】の活動日記はこちらです。
金剛山でおやつタイム / まんちゃんさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
他にも金剛山に関する記事を書いていますので、合わせて読んで頂けると嬉しいです。
質問、コメントお待ちしています!